社長コラム

酒を主食とする人々

2015.03.03

エチオピア南部に暮らすデラシェという民族は、パルショータと呼ばれる緑色をした醸造酒を主食としている。

パルショータはモロコシとトウモロコシを主原料に、複数の植物の葉や穀物の発芽種子の粉末を加え発酵させて造る醸造酒である。濾過については記載がないが。どぶろくのような状態と思われる。

一番好まれているのはパルショータだが、季節により一部の副原料が手に入らない時はネッチ・チャガや、より簡単に造れるカララが飲まれる。いずれも酒であり、水でアルコール度数を2~4%に希釈したものを一日に5~7kg摂取する。デラシェはこれらの酒以外は穀物粉の団子を茹でたものを時々つまむだけで、マメ類や肉類、乳製品をほとんど口にしない。これほど偏った食生活をしているにもかかわらず、デラシェに栄養不良が発生しないことは驚くべきである。

パルショータが蛋白質、リジンなどの栄養素を含み、発酵させることによってアミノ酸スコアを高めた高機能食品であることは明白である。問題はそれが酒であるという点だが、アルコール濃度が低いこと、長い時間をかけて摂取すること、により酩酊せずに必要なカロリーと栄養素を摂取することができている。しかしながらその飲酒量の多さから、デラシェが大量のアルコールを摂取しているのは事実である。

デラシェは朝6~7時から夜8~9時までの活動時間のうちの3~5割をパルショータの摂取にあてている。彼らはヒョウタンやペットボトルに入れたパルショータを持って畑にむかい喉が渇いたり、空腹を感じたりするとパルショータを飲んで休憩する。農閑期はもっと飲む。

酒を主食として大量に常食(常飲?)するという飲み方は極めて特異であり、汎用的な事例とはいえないが、醸造酒の食品としての可能性を示しており大変興味深い。

以上、醸造協会誌という化学式も出てくるような専門誌に載っていた記事を要約したものである。
酒を主食とする民族が存在することに唖然とする一方、それで破綻しないことにも驚く。破綻しない理由は酔っ払うほど飲めないからであろう。レポートに「酩酊することはないけれど、一日のうち半分は酒を飲んでいる」とある。パルショータはどぶろく状なのでいっぺんにたくさん飲めないのだ。彼らがパルショータをもっと効率的にアルコールを摂取できる酒に進化させていたら、(世界のすべての酒がそうであるように、)パルショータは主食ではななくなってしまって、デラシェもデラシェではくなってしまうだろう。デラシェのライフスタイルはパルショータによって維持されている。

一日中酒を飲んでポワーンと過ごす生活。やる気は絶対に出ない。発展はないだろうが幸せはある。そっちの方がいいような気もするが日本では絶対無理なので、とりあえず夜だけポワーンとなるために今夜も酒を飲むことにしよう。

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