社長コラム

「青年の像」に関しての憂鬱

2015.08.20

青梅市は沢井、多摩川沿いの遊歩道、澤乃井園のちょっと上流にある小高い岩の上に「青年の像」は立っている。

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「青年の像」は銅製の、高さ2メートルほどの裸の青年男子の立像である。
作者は彫刻家の朝倉文夫。
戦時中朝倉文夫が沢井に疎開していた関係で寄贈され、多摩川沿いのこの場所に設置された。その由来が彫られた石碑には昭和39年とある。公園などにあるモニュメントとは違う明らかな芸術作品である。なんで川っぺりにこんなものがあるのか。そこはかとなく漂う違和感は芸術作品としての風格によるものだろう。

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米軍横田基地司令官のR大佐はとても気さくな人物である。羽村のN女史を介して知り合い、昨年は基地解放にも招待していただいた。自ら運転するカートで広大な基地の中をあちこち案内していただき、本場のハンバーガーをごちそうになった。
澤乃井園がお気に入りで、本国や沖縄から来客があるとやってきて周辺を散策したり、川風に吹かれて一杯やりながらリラックスしたひとときを過ごす。N女史のラフな通訳を通しての会話も楽しい。

先日も、来日された奥様の幼なじみご一家と一緒にやってきた。子供達にラムネの飲み方を教えたり、ひととおりの国際交流が落ち着いたころ、N女史が私の耳もとでささやいた。
「R大佐はいつも、青年の像は若いころの小澤酒造の社長がモデルなんだ、と言っているけど本当なの?」
青年の像が設置された時のことは覚えている。私は小学生だった。「だから違うよ」と答えた。どうみても小学生の体ではない。
「でもみんな信じちゃっているわよ」。N女史は嬉しそうに言った。

考えてみてほしい。
自分の家のそばに自分の裸像を設置する日本人はいない。N女史は日本人だからちょっとおかしいと思ったのだ。でも外国人ならそう思ってしまうかもしれない。いや、最高司令官の言うことだ。疑うことさえしないだろう。いままで何人もの外国の人達と澤乃井園で会った。皆、あの銅像を私と思っていたのだ。思いながらニコニコと握手をしていたのだ。それを知らずに自分は・・・。そんな私の心中を気にすることなくR大佐はご機嫌で基地に帰られた。

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その話を聞いてから「青年の像」は何やら気になる存在になった。
よく見るとなかなかいい体をしている。いやいやそういう問題ではない。やっぱり恥ずかしい。
N女史は「像を見た人は皆パンツを履かせてやりたいと言うそうよ」と言った。
私だって最低パンツくらい履かせてやりたいと思う。しかしパンツを履いた銅像はもっと恥ずかしいような気がする。

ちょっと待て、何か勘違いしていないか。

そもそも私は恥ずかしがる必要はないのだ。と言いながら人ごとでもないような気がしてしまうから困るのである。

澤乃井 社長コラム

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