社長コラム

獣肉三昧

2008.12.11

知り合いの後藤さんが仲間の皆さんと奥多摩ハイキングの後、うちに来られるとのこと。酒蔵で酒を仕入れてそれからご飯を食べる予定。紅葉の奥多摩の休日、八人まとめてご飯が食べられる場所はない。到着は二時ころということで朱とんぼのいろり小屋を予約する。

 

後藤さんは決してお金がない人ではないが予算は一人二千円、朱とんぼは自分で用意すれば支払いは場所代だけである。自分もメンバーに入れてもらって準備を担当することに(朱とんぼの新井君に頼んだだけだが)。場所代に食材と酒の代金を含めて一人二千円、なんとかなるか。

 

朱とんぼチーフの新井君が料理雑誌からコピーした秋刀魚のつみれ鍋をメインに、貰いものの熊、鹿、猪の肉を焼く。いずれも奥多摩の野生である。焼き肉のたれは新井君が特製してくれた。

 

熊は獣肉の中の最大のご馳走と個人的に思う。
肉の部分はごりごりと堅い。臭いも若干ある。しかし脂が旨い。冬眠に備えて蓄えた脂肪はドングリの味がする。そういえばイベリコ豚はドングリで育てると聞いた。奥多摩の熊もドングリを食べているに違いない。

 

鹿は赤身を食べる。
昔は馬刺しのように、にんにくを薬味に生で食べた。くたくたと柔らかく、噛んでもなくならないガムのような肉質だったがそれがいいところだった。最近は生で食べることはしない。焼いた鹿は淡白なレバーのようで物足りない。ままごと屋では昔、鹿しゃぶで出していたが、その理由がわかった。

 

猪は豚の先祖であるから、筋張った豚肉というのが説明としては一番的を得ていると思う。しかし野生を味わう楽しみは普通の豚肉にはない。特製のたれを付けて焼き、度数の高い酒で流し込む。山賊になったような気分。
猪を食べると思いだすことがある。
もう十年以上も昔。猪の肉をもらって今の朱とんぼ、当時は青梅林業という製材所だったが、そこで猪鍋をした。猪はみそ味の鍋が定番である。皆でうまい、うまいと食べているうちになぜか最初よりうまくなってきたように感じて「猪ってだんだんうまくなるなあ」と言った。皆同意したところで幹事がひとこと。

 

「肉がなくなったんで肉屋さんに行って豚肉を買って来たんですよ」。
やっぱり肉屋さんの肉の方が獣肉よりうまかったのだった。

 

しかし優劣を言うべきではない。
普通の肉だったら後藤さん御一行もあんなに喜んではくれなかったろう。

 

都会に住んでいる人達、いや田舎に住んでいる我々だってこんなものを口にする機会はそうはない。特別に滋養の高いものを食べたような気がして「こういうもの食っていれば風邪なんかひかないんだろうね」と言って笑った翌日に風邪をひいたのは、たぶん酔ってふらふらと家まで歩いて帰ったことが原因だろう。軟弱な体質は獣肉を食べたくらいでは変わらない。

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