社長コラム

さようなら、私の桜里(おうり)さん

2008.10.21

毎年、九月の初旬に私宛に届く一枚の葉書。
毎年だ。
もう十年以上。

 

「10月1日の日本酒の日、澤乃井の”朝詰めの酒”を飲みませんか。その朝詰めたばかりのまだ暖かい酒です。会費1000円、料理持ち込み大歓迎。お待ちしております」。

 

差出人は○○桜里さん。なんときれいな名前だろう。右下の横文字のサインがとても素敵だ。どんな方だろうか。いずれにしても、澤乃井を愛してくださっている。お伺いし、お礼を申し上げなければならない。

 

しかしながら場所は小平、沢井からだと一時間半以上かかる。月初めというのも参加を難しくしている。思いはあってもチャンスがなかった。
そんな私の心を見抜いた製造部の女子社員が参加を表明してくれたことがあった。しかしなんという不運、たまたまその日関東地方を襲った台風により青梅線がストップ、桜里さんのせめて情報だけでも、という私の願いは台風に吹き飛ばされて散った。

 

桜里という名の響き、横文字のサインの華麗。桜里さんへの思いは、いや想いはつのるばかり。

 

今年も葉書が届いた。
今年こそ参加しよう。しかし一人では行けない。取材という名目で一代目”社員A”を誘った。彼女は飲み会ならかなりの確立で参加する、こういう時はありがたい存在である。(社員Aはホームページ担当者、現在は二代目)

 

国分寺の駅で待ち合わせ二人で小平行きのバスに乗る。夕暮れせまる秋の停留所に降り立って、までは良かったが徒歩三分というそこからの道がよくわからない。Aが桜里さんに電話で聞くと、ご親切にも迎えに来てくださるという。

 

やさしい桜里さん。3分後にお会いしましょう。
その時、何か言い知れぬ不安を覚えて私はAに聞いた。
「ところで、○○さんて女性だよねー」。
「いや男性ですよ」。
「えっ、うそ・・・」。

 

夕暮れの中、我々にむかって手を振る男性。
桜里さんは”ひげもじゃ男”だった。

 

私はショックをうけていたが悟られないように挨拶をし、世間話をしながら桜里さんの家までの三分を歩いた。

 

”朝詰めの酒を飲む会”はとても楽しかった。不思議の国に迷い込んだアリスのような体験をさせてもらった。しかし、楽しい話を今回の悲しい物語と一緒に語ることはできない。またの機会にさせていただきます。
さようなら、私の桜里さん。

 

【補足】
桜里さんの女性らしいサインをお見せします。

 

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