社長コラム

「しょうがない、酒でも飲むか」な人達

2013.10.08

「暑い暑い」が過去形になりつつあった9月15日(日)、府中の大国魂神社において、東京都酒造組合が主催する「武蔵の国の酒まつり」が行われるはずだった。
が、台風18号の襲来により中止となった。朝から一日、のつもりだったのが急に休みになってしまった。大雨注意報が発令されている中を出かける気もしない。家の中をうろうろしているうちに昼になってしまった。家には誰もいない。ひとりで昼食を作って食べるのもわびしい。

「しょうがない、酒でも飲むか」。
蕎麦を食べながら一杯やることにして澤乃井園に行く。

そういえば一ヶ月ほど前、澤乃井園で友人を待っていたが現れず(後でやってきた)「しょうがない、酒でも飲むか」と、酒瓶を手に席を見回すと立派な山仕度の男が二人、酒を飲んでいる。テーブルの上には、数本の300mlがすでに空になっている。
あんな重装備してなんで、どうして、昼間から飲んでいるのだろう。どこの山に登ればこういうことになるのだろう。不思議に思って聞いてみました。私も軟弱系ではあるが山男なので。

二人のうちの一人が答えた。
「いや、実はね、川乗に沢登りに行ったんですよ」。
川乗とは奥多摩の名峰、川乗山のことである。
そうか沢登りか、なるほど。リュックにヘルメットがぶら下がっている。沢登りにヘルメットは必須である。
「日原行きのバスを川乗橋で降りて、いざ登ろうとしたらこの人、靴持ってきてなかったんですよ」。
沢登りは普通の登山ではない。装備も違う。特に靴は重要だ。地下足袋のような特殊な靴、あるいはわらじを使う。それを忘れたらもうあきらめるしかない、らしい(やったことないのでわからない)。
この人と言われた相方は「エヘヘー」という感じでグラスを口に運んでいる。
それで折り返しのバスに乗ったものの、このままでは帰れない。さてどうするか、「しょうがない、酒でも飲むか」となって今この時、澤乃井園で一杯やっているという次第なのだった。間抜けな話だがおもしろいので「ホームページに載せさてもらってもいいですか?」とことわり、酒を一本差し入れた。この二人、見たところ酒は強そうである。こういう人達にはサービスしても無駄にはならない。小瓶の一本くらいすぐ元がとれるはずである。

「しょうがない、酒でも飲むか」は時々ある。
「本来であれば飲んでいない状況下において、避け難い事由により時間が空き、他にすることがないので飲む」ということだが、「することがないわけではないが、そういう気にならないので飲む」というのが本当のところだろう。「どうせ夕方になれば飲むのだし、それが早まっただけのことだ」と言い訳しつつ、少し得した気分にひたるのもいい。

ときおりゴーと音をたてて風が吹く澤乃井園、冷や奴を肴に一杯やりながら周りを見回す。こんな天気なのに、いやこんな天気だからか。川沿いの東屋は「しょうがない、酒でも飲むか」となった人達で案外の賑わいである。
「ちょうどいい、酒でも飲むか」みたいなグループもいる。こういう人達のおかげで酒屋は成り立っているのだ。

たとえどんな状況下におちいろうと最終的には酒を飲むことを決断する、ありがたいことです。
本当にありがとう。

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